広告代理店勤務のりるまゆです。
就活で広告代理店を目指している方、他業界から広告代理店への転職を考えている方、いるかと思います。
そんな時に気になるのが、広告代理店の実態ではないでしょうか。
「良い面と悪い面を知りたい。」「実際、残業多いの?」「芸能人に会えたりするの?」「代理店ならではのエピソードが知りたい。」などなど、いろいろな疑問があるかと思います。
今回は代理店で働くうえで良かったこと、悪かったことを軸に、このような疑問に答えていきたいと思います。
■良かったこと(代理店で得られること)
①情報力
一つ目が情報力です。代理店にいると、日々社内で様々なお知らせが流れてきます。
「本日、○○社から△△というメディアがリリースされました!」
「○○社の△△というメディアを積極的に提案すべく、勉強会を開催します!」
「弊社のクリエイティブが○○賞を受賞しました!」
あらゆるメディアの情報、他社の成功事例など、様々な情報に日々触れることになります。
これが代理店の持つ価値の一つです。
営業職ですと、日々流れ込んでくる情報を自分のクライアントに合わせて取捨選択し、日々の営業活動に役立てていきます。
また、会社によっては様々なマーケティングツールが導入されています。
競合他社の広告出稿量を分析するツールや、顧客のインサイト発見に役立つSNS分析ツール、クライアントのwebサイトを解析するツールなどです。
このようなツールを使うことで、提案の精度を上げることができたり、顧客が気づいていない課題を発見できたりします。
また、会社の規模が大きいと研修や勉強会、オンライン型レッスンなど、スキルアップできる環境が整っているので、自分次第でメキメキと成長することができます。
また、代理店で働いていると、あらゆる業界の方と接する機会があります。
保険、メーカー、小売、不動産、IT、などなど、様々な業界のクライアントと取引をしています。
「あ、この業界は今これが課題感としてあるんだな」
「この会社、稟議回す数多くて、あの会社とは全然違うな!」
など、業界・会社単位でもルールや文化、マーケットの課題、トレンド等々、全然違うことに気づいていきます。
こうなると日本市場の概要を肌感で掴めるようになり、日本のマーケットを俯瞰で見ることができるようになってきます。
②特別感
二つ目が特別感です。
「タレントさんを起用するCMを制作することになった」
「タレントさんとクライアントのお偉方との対談記事を作ることになった」
「音楽ライブイベントの協賛をすることになった」
なんて時には、芸能人に会うことができます。
あと、媒体部の中でもテラ局(テレビラジオ局)は局へ出入りすることが多々あるので、他の部署に比べて日常的に芸能人を目にする機会があると思います。
ただ、データ分析をする部署や経理部など、「一度も芸能人に会ったことがない」という方もいるので、所属する部署や仕事の種類によって大きく変わると思います。
また、携わった仕事が多くの人の目に触れることも、特別感があるかと思います。
③自由度
会社の規模にもよりますが、会社の規模が小さくなるほど、一人の裁量が大きくなってきます。
その分一人で担当する仕事の幅は広くなって大変ですが、そこにやりがいや達成感を感じる人もいます。
また、自分の繫がり次第で知り合いから仕事の話をもらったり、他人には提供できないソリューションを出せたりできることも、代理店の醍醐味かと思います。
自分というフィルターを通して、自分にしか生み出せないパッケージをクライアントに提案できたりするので、これが面白いです。自分の力量次第で面白い仕事ができます。
■悪かったこと(代理店では得られないこと)
①QOL
QOL=クオリティ・オブ・ライフ。つまり、生活の質ですね。
代理店に勤務している方は比較的忙しい人が多いと思います。
「そもそも仕事量に対して部署のマンパワーが足りない…」
「案件に携わる人が多く、メンバーの時間が合わないため、定時後にミーティングを入れられた…」
などの組織的な問題。
「コンペを2つ掛け持ちしていて、今月は特に忙しい…」
などの繁忙期の問題。
「クライアントから急ぎで資料作成を頼まれた!」
などのクライアントワークという業務形態から起きる問題。
様々な理由でズルズルと残業時間が伸びていく…という方は多いと思います。
ひいては体を壊す人も出てきたり、家族・恋人との時間が減ったり、など、この業界では割とポピュラーな課題かと思います。
また、仕事と休日の境目を作りづらい、ということも上げられます。
というのも、広告代理店の主な仕事は「考えること」です。
クライアントの課題ややりたいことは様々で、他社で提案した施策がそのままそのクライアントに通用することは稀です。
メディアにしろクリエイティブにしろ、戦略部分にしろ、今顧客が置かれているシチュエーションによってアウトプットは当然変わってきます。
また、日々トレンドが変わりゆく昨今、新しいメディア・デジタルツールの知識をキャッチアップすることが求められます。日々生活者として目にする広告からも、新たな発見があると思います。
これを仕事と捉えない柔軟さも代理店で働くうえでは必要かもしれません。
②難易度の高さ
あらゆる職の中でも、広告会社の仕事は難しい=高いビジネススキルが求められる部類に入るかと思います。
営業職という観点ですと、新規開拓にしろ、既存クライアントとの打合せにしろ、実際に営業が企業のマーケ部門の方と対面する際は、あらゆる角度での知見が求められます。
単にメディア枠を安値で売って成立していた数10年前とは違い、今はネット全盛の時代です。
つまり、広告効果が数字に表れて、クライアントのビジネスに貢献できたか否か、分かるようになった、ということです。当然、広告主も代理店からの提案の質をシビアにジャッジします。
クライアントからその場でヒアリングしたことを咀嚼しつつ、想像を働かせ、都度顧客に有益な情報を提示する、といった話し方が求められます。
メディア、ソリューションの知見、そして、ヒアリング力、瞬発力、発想力、クロージング力。
これらを網羅して初めて顧客から「そんな方法があるんですね!」「こんなメディアがあるんだ」という反応が引き出せて、「スキルのある営業さんだ」とクライアントも心を開いてくれるようになると思います。
また、他社(=他店)との熾烈な競争があります。
代理店と言えば、コンペや入札などの商習慣がまだまだ残っています。
数社間、時には10社以上が企画案をクライアントに提案し、選ばれた1社のみ案件を勝ち取るという方式です。
普通なら、クライアントが広告で訴求したい相手(=生活者or法人など)に刺さる企画案を練り、提案するのですが、これがコンペになると、いかにクライアントに採用される企画を作るか、というもう一つの軸が出てきます。
生活者にとってはこれがベストだ!といった企画ができたとしても、「クライアントはこっちの案の方が好きそう」という軸にも引っ張られるため、結果的に生活者にあまりハマらない案が採用されることも。。
また、コンペに負けた代理店は基本的に一銭も利益が出ないため、社内外のリソースをフル活用し、果てしない労力をかけて提案した企画も、採用されなければそれまで。社としての利益は0円です。
③愛社精神
代理店にはいわゆる「商品」というものがありません。
代理店以外の会社を例に出すと、明治なら「きのこの山」、スクウェア・エニックスなら「ファイナルファンタジー」、楽天なら「楽天カード」等々。知名度の大小はあれ、目に見えるものであったり、一般の人でもすぐに理解できるような実態が伴っていたりします。自社の商品が好き!、「Inspire the Next(日立)」など、コーポレートスローガンがある!、自社の製品がCMに流れている!など、それらが愛社精神に繋がりやすくなっていると思います。
代理店の商品と言えば…広告枠の媒体費、広告制作費、協賛費、コンサル費、作業費、、等々、目に見えないもので利益を上げているのが広告代理店です。
商品やスローガンなどの記号的なものがない分、自社を好きになるかどうかは、一緒に働く人やオフィスの環境などの影響が強いと思います。
■まとめ
悪かったこともつらつらと書きましたが、仕事の難しさがやりがいになっている部分もあるかと思います。
若いうちから様々な企業の広告部門の方とお仕事できたり、媒体社や制作会社の方とつながりができたりと、多種多様な方と携われるのも代理店の魅力の一つかと思います。
割りとタフでハードな業界ですが、マーケティングの力をつけたい方は、ぜひ代理店へ!
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